もう退任するのに住所変更登記が必要ですか?

住所変更があったら「法人登記Aiしてnet」の住所・氏名変更登記サービスを、東京,大阪,名古屋,横浜,埼玉,千葉,福岡,静岡から全国までお勧めします。

皆さまの中には「社長が会社で一番偉い」と思い込んでいる方々がいらっしゃるかもしれません。

 

しかし法律上は、会社に財産を出資した構成員(例えば、株主や社員)こそが会社の実質的所有者であり、社長はその経営手腕を買われたに過ぎないのです。つまり社長は、株主や社員から雇われただけの、いわば雇われ店長的な立場でしかないのです。具体的には、社長が経営を失敗して損害を与えた場合には、損害を受けた会社や第三者から損害賠償請求を受けることすらあるといった境遇なのであります。まあ、だからこそ出資者は安心して会社に財産を拠出できるわけであります。

なぜ会社の代表者の住所は登記しなければならないのか?

ところで社長に対する損害賠償請求は、裁判所でやることになるのが通常です。いくら株主や社員といえども、私的に制裁を加える特権まで与えられているものではありません。

とはいえ裁判といっても容易いものではなく、裁判を実際に開催させるためには、訴えた被害者からの訴状が、訴えられた社長らに対し、実際に郵送される必要があります。

 

ここで皆さまお気付きの通り、社長の住所が分からないと、裁判を始められないということになります。会社の代表者が、その住所を登記しなければならないのはそのためです。

役員の住所変更登記の例外とその例外?!

前置きが長くなりましたが、代表者の住所が大切なものである以上、住所に変更が生じた場合には、変更後の新しい住所を登記しなければならなくなるのは当然のことといえそうです。

 

しかし原則があれば例外もあるのが法律です。つまり、代表者に住所変更が生じても、住所変更登記をしなくてよい例外的な場合があるということであります。

 

さて、代表者について、住所変更登記が省略できる例外的な場合ですが、それは重任の場合です。重任とは、退任したその日に就任することをいいますから、重任した代表者は、終始一貫、会社の内部に居て、外部に出ません。前述の代表者に対する損害賠償請求を常になし得る状態であるため、住所変更登記の必要性が緩和されるのです。更にいえば、重任の登記に当たり、どうせ新しい住所で代表者を登記し直すのですから、尚更、代表者に対する損害賠償請求に支障を生ずることがないということでもあります。

 

ただし法人登記では、手続が全て書面によってなされる書面主義が採用されています。代表者の重任登記に際して提出される書類との整合性によっては、住所変更登記の省略が認められないこともありますので要注意なのであります。そこで、例外的に住所変更登記が省略できる場合であっても、更に例外的に、住所変更登記を省略できなくなってしまうときについて、まとめて参りたいと思います。 

 

<辞任届に添付する印鑑証明書上の住所が登記上の住所と異なる場合に住所変更登記が必要か?>

 

個人実印の印鑑証明書上の住所が登記上の住所と違う場合

個人実印の印鑑証明書上の住所が登記上の住所と同じ場合
辞任届に個人実印を押印した場合 辞任到達日以後に印鑑証明書が発行されたとき

住所変更登記は不要

住所変更登記は不要

辞任到達日前に印鑑証明書が発行されていたとき

住所変更登記が必要(※)

住所変更登記は不要

辞任届に法人実印

を押印した場合

住所変更登記は不要

住所変更登記は不要

結局、住所変更登記が必要な場合は1つに限られますが、これとて変更が可能ですから、辞任直前の住所変更はやり方次第で可能になってしまうものと思われます。