自分で法人登記をやろうとしている皆さま、御社のケースは「代表権付与」では?

『法人登記Aiしてnet』が法人登記の代表権付与を徹底解説!!

さて『法人登記Aiしてnet』をご覧の皆さまの中には、1度や2度、自分で法人登記をしたことがあるという方が他もいらっやるのではないでしょうか。特に役員変更登記を経験された方でしたら、記載すべき登記原因が「就任」になるのか、「重任」になるのかといった、一般的にはどっちでも良いのだけれども、間違ってしまうと大事になってしまうような問題に直面されたことがあるかもしれません。

 

「代表権付与」と申しますのは、その登記原因の一つでございます。代表権を有しないヒラの役員が、代表役員になった場合における法人登記申請では、その代表役員についていかなる登記原因を使用すべきか、具体的には「代表権付与」という登記原因を使用することになるのかが問題となるのです。申し遅れましたが「代表権付与」は「だいひょうけんふよ」とお読みします。

 

これは代表者の選任方法の違いから生ずる、その境界を埋める存在のようではあります。

つまり代表者の選任方法は、ザックリ申しまして3通りの場合に分けられます。

第1は、特定の人を代表者としてあえて選ばない方法です。(各自代表制)

第2は、特定の人を代表者とすべくそれ以外の人から代表権を奪う方法です。(直接選定制)

第3は、特定の人を代表者とすべく代表者となるべき者に代表権を与える方法です。(間接選定制)

それぞれに敢えてネーミングを付けるなら、上記丸括弧内で表示しましたように、各自代表制、直接選定制、間接選定制といったところでしょうか。なお、このネーミングは正式な権威のあるものではなく、「法人登記Aiしてnet」で説明するために便宜上命名しているだけですのでその点悪しからずご了承下さい。

 

さて上記3通りのうち、最も標準的なのは、複数の役員の中から正に代表者を選ぶ第3であります。

ところで、この第3の方法は、代表権を「与える」方法ですから、その直前まで、役員の誰も代表権を有していなかったことが分かります。実はここが重要なのです。第3の本質は、もともと代表権を有しなかった役員に代表権を与えた結果といえ、

選ばれし者に代表者という冠を与えるイメージであります。

第3の方法:間接選定制・・・代表権という冠を与えるイメージ

 

次に分かりやすいのは第2となります。

第2の場合、代表権を「奪う」方法ですから、重要なのは、その直前まで、役員の全員が代表権を有していたということです。したがって第2の本質は、もともと代表権を有していた役員から代表権を奪った結果といえ、

選ばれざる者達から代表権という角(つの)を抜くイメージであります。

第2の方法:直接選定制・・・代表権という角を抜くイメージ

 

最後に分かりにくいのが第1の場合となりましょう。

選ばない者らが選ばれるという、何とも逆説じみた印象を受けますが、第2や第3と同様に考えますと、重要なのは、終始一貫して、役員の全員が代表権を有しているということであります。そうしますと第1の本質は、もともと有していた代表権を役員にそのまま温存した結果といえ、

代表権という角をそのまま全員に残すイメージとなります。

第1の方法:各自代表制・・・代表権という角を残すイメージ

 

かように代表者の選定方法は3つに分かれ、常にいずれかが適用されます。いずれが適用されるかは、役員の意思とは無関係に幾らでも変動する余地があり、役員はその変動に拘束されることとなります。特に、第2又は第3の方法から第1の方法に変更した場合、第1の方法に変更することによって、代表権を有しなかった者らにも角が残されることになり、彼らは自らの就任承諾と無関係に代表権を有するに至るのです。これが代表権付与という登記原因であり、各自代表制への変動に基づき代表者が就任することなのであります。

 では最後に基本的なところを表にまとめて整理をしておきましょう。

 

<代表権付与に関するまとめ表>

  第1の選定方法(各自代表制) 第2の選定方法(直接選定制) 第3の選定方法(間接選定制)
具体的場合

・各自代表制

 

・構成員意思(例:株主総会)に基づく選定

・定款記載による選定

・定款に基づく互選

・経営者意思(例:取締役会)に基づく選定

ヒラ役員の性質

もともと代表権という角を有する存在(一体の地位)

 

もともと代表権という角を有しない存在(地位の分化
1人会社での適用の可否

不可

∵選任は複数の中からなし得るのみで単数の中からなし得ないから。

代表者のみの辞任の可否

不可

∵代表権という角のみを取り外せないから。

代表者選定の意味 役員全員について代表権を奪わないの意 ヒラ役員となる者についてのみ代表権を奪い、代表者となる者についてのみ代表権を奪わないの意 ヒラ役員はヒラのままに、代表者となる者についてのみ代表権を与えるの意
株式会社の場合、代表権付与の可否 初めから第1であった場合、なり得ない

第1へと変更した場合、なり得る

 

有限会社の場合、代表取締役の氏名抹消の可否