Help!株主総会を開きたいのですが、株主の呼び集め方が分かりません・・・

株主総会の招集手続について、法人登記に強い司法書士峯弘樹事務所の『法人登記Aiしてnet』がご説明!!

先祖代々やってきた、と或る株式会社。長年一貫して家族ぐるみで経営してこられ、株主は先代だけ、役員も先代だけといった典型的な一人会社であります。ですが時の流れは早いもの、先代もいつまでも若く元気なわけではありません。年齢を経るごとに人は自分の限界を感じるものでありまして、いつまでも自分が株式や社長の地位にしがみ付いていたならば、自分に万が一があった場合に、残された家族、懇意にしてきたお得意様、無理を聞いてくれる仕入先などなど、多大な迷惑を掛けてしまうのではないかと心配になってきたりこなかったりするわけであります。そこで今般、遂に英断され、株式を公平に分配し、役員も増やすこととしたわけであります。

 

さて株式が分配された後の初めての決算月。法人経営は何といっても結果が一番ですから、新任の経営陣も通知簿を受ける前の子供のように緊張することもありましょう。ただ、先代にどうも落ち着きがありません。聞けば株主総会は、いままで自分一人だったから、特に手続は要らなかったけれども、株主の人数が増えた今、どうやって株主を株主総会に集めれば良いか分からないでいるとのこと。株主総会への招集手続は、株主の発言権を確保するための非常に大切な手続。これを蔑ろにすると、後に折角の株主総会決議が無効となり、向こう決議に基づく法人登記も無効になるという最悪の事態も!ぜひともこの機会に、株主総会の招集手続についてしっかり確認しておきましょう。

 

まずは、呼び出す株主の居所を確認しなければなりません。もちろん株主名簿が必要です。もし内容が古くなっているときは早急に更新しておきましょう。株主の居所が分かったならば、次は招集通知です。いつ、どこで、何を決議するのか記載して、最新の株主名簿を見ながら、株主らに対し、少なくとも書留郵便で発送しましょう。なお、招集通知は今はやりのメールやラインで送信することも可能ではありますが、メールやラインはお気軽である反面、予め受信者の承諾を得ておく必要があったり、承諾を得ていても受信者が開封しない可能性があったり、送信履歴が一定期間後に自動削除され招集手続を行ったことの証拠を失うといった様々なリスクがあります。重要な法的効果を伴うことなのですから、急がば回れ、リアルに郵送することを推奨致します。また、招集通知は株主総会の2週間前(株式に譲渡制限が課されている会社にあっては1週間前)までに書面が株主に到達するようにして下さい。

 

他方、招集通知を発する側の話ですが、発信者は原則として取締役です。ですから取締役が1人という会社の場合、その取締役に万一のことがあると、招集通知を発する者がいなくなるといった事態になり兼ねません(完全にいなくなることはありませんが、裁判所の手を借りなければならなくなり非常にやっかいです。)。ですから、リスクヘッジとしても、取締役は少なくとも2名態勢でいらっしゃることがお勧めです。なお、株主全員の同意を得ている場合に限り、この七面倒な招集手続も省略可能です。株主が親族の範囲にとどまる場合は、全員の同意を得ることができる可能性があるでしょう。逆に言うと、新たに株主となる人は、招集手続の省略につき同意してくれる人を選ぶということも大切なのかもしれません。

 

では恒例のまとめ表で株主総会の招集手続をおさらいしておきましょう!!

 

<株主総会の招集手続のまとめ>

  株主総会の招集手続の流れ コメント
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取締役が招集を決定

(会社法298条)

いつ、どこで、何を決議するか等を決定します。かような会社の舵取りは、原則として、そこの経営者、株式会社であれば取締役がやることになります。

 

【例外措置】

① 3%かつ6箇月以上株主の方から、取締役に対し招集せよと求めることも可(会社法297条)

② 取締役が欠け、欠員補充がままならない場合、裁判所に人材を求めることも可(会社法346条2項)

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予め株主に招集通知書を到達

(会社法299条)

いつ、どこで、何を決議するか等を事前に通知することで、株主の発言権を確保する趣旨です。

 

【例外措置】

① 株主の個別承諾を得ることで、メールによる招集も可(会社法299条3項)

② リモート決議を認めない場合に限り、株主全員の同意を得ることで、通知の省略が可(会社法300条)

※リモート決議を認めないということは、総会への来場が要求されているということであり、株主はそこで発言の機会が与えられます。反対にリモート決議を認めるということは、必ずしも総会への来場を要求していないということであり、そんな株主に通知をしないのでは、その株主は総会で何が議論されるのか全く知ることができなくなってしまうからです。

3

株主総会の開催

(会社法296条)

 

 

事業年度末を経て定期的に行うのが、定時株主総会です。その年度の決算を明らかにしなければなりません。上記とは無関係に随時行うのが、臨時株主総会です。

株主総会は「万能の機関」と呼ばれ、会社に関することであれば、何でも決議することができます!!