け・け・け権利義務役員って誰のこと?正しい法人登記できてますか?

全国の社長さまに『法人登記Aiしてnet』が権利義務社長にならない方法を編み出しましょうか?

権利義務役員、何やら強そうな名称ではありますが。

法人登記Aiしてnetをご覧の皆さまであれば、少なからず聞き覚えのある言葉ではないでしょうか。

そうザックリ申しますと、潮時なのに辞めさせてもらえない役員のことです。

 

ご存知の通り、法人経営は誰がやっても上手くいくというものではありません。ですから能力や技術を持った人を例えば、取締役として雇うわけです。しかし、いつまでも鎖で繋ぎ続けるわけにも参りません。取締役には任期があるのだし、職を辞したくなるときもあるでしょう。

とはいえ後任の引継ぎさえ終わっていないのに、取締役がそそくさと退任してしまったのでは、残された株主はニッチもサッチもいかなくなってしまいます。

そこで定数に達する後任の取締役が補充されるまで、前任の取締役の退任登記申請が受理されないこととしました。前任の取締役は引き続き従前の取締役としての権限(権利)を有し責任(義務)を負い続けますので、権利義務役員と呼ばれるわけなのであります。

 

ということですので、この権利義務役員を解消するためには、定数に達するまで新たな後任役員を就任させれば良いということになります。早く退任したい前任者としては、他から人材を発掘し会社に紹介したり、会社の方でも後任を広く募集して欲しい旨懇願したりすることになりましょう。他方、残される会社・株主としては、後任者を早く見付けることもさることながら、役員の欠員を生じた原因である役員の定数規定の改廃をも検討することになりましょうか。例えば「取締役は3名とする」との定款規定があったならば、取締役が2名になった途端、欠員の問題を生じますが、その規定を「取締役は3名以内とする」というように改正すれば、取締役が2名に減っても「3名以内」という条件を満たしますから欠員の問題を解消させることも可能だからです。

 

かように権利義務役員の制度は、会社の存亡を維持するため、非常に大切なものでありますが、欠員が生じさえすれば常に必ず権利義務役員となるわけではありません。役員の退任事由も問題となります。役員の退任事由には様々ありますが、例えば、死亡してしまったら元も子もなく権利義務役員なんてできませんし、業務上横領を原因として解任した役員が引き続き権利義務役員として残留することは会社サイドとしては気が気でありません。つまり権利義務役員となり得るのは、その役員の退任事由が、任期満了か、又は辞任の2通りの場合であるときに限られるのでここ要注意です。

 

なお、合同会社については、社員らに「任期」がありませんし、たとえ代表や業務執行の地位を「辞任」したとしても、社員全員の同意がなければ退社できず、会社に居続けることになります。したがって合同会社には権利義務役員の問題はありませんのでお間違いなく。

ではこの辺りで、恒例の早見表で権利義務役員についてまとめておくと致しましょう。

 

<権利義務役員のまとめ表>

要件 ⇒  効果

当該役員が

任期満了 又は 辞任

② 

当該役員の定数に

欠員が発生

欠員が解消するまで

当該役員が役員として残留

退任登記申請不可

解任破産後見開始など、役員として残留することが相応しくない場合は、権利義務役員の要件を満たしません。

定数の改廃により欠員が解消する場合も、権利義務役員の要件を満たしません。