なぜか設置したくなる取締役会の魅力!!どんな場合に設置すべきか?

『法人登記Aiしてnet』が株主総会と取締役会の決定権限の分配についてご説明しております。

『法人登記Aiしてnet』をご覧の皆さまの中には、株式会社を経営されている方々もいらっしゃるとお見受け致しますが、そんな皆さまの株式会社に取締役会は設置していますか?取締役会は、いつも会社に関係した仕事をしている取締役らを簡単な連絡方法で呼出して開催することができるため、いつも会社と無関係なところにいある株主らを厳格な招集方法で呼出して開催する株主総会よりも使い勝手の良い決定機関といえます。イメージとしては、ちょっとコンビニまで、ダンプカーという株主総会に乗って行くことはせず、軽自動車のような小回りの利く取締役会に乗って行きたくなるようなものではないでしょうか。

 

さて法律の世界では、砂やままではダンプカーで、コンビニまでは軽自動車で、百貨店へは普通車で、というように決定事項ごとに決定機関が定められています。このように分類しているのは、決定事項には様々な性質のものがあり、その性質に鑑みると、いかなる機関が決定すべきかが自ずと決まってくるということにあります。

 

株主総会の場合、そこに集結するのは会社のオーナーたる株主です。会社のオーナーである以上、会社の中で最高の地位にいる者達といえます。そうであれば会社の重要事項については、正に株主らの決定に委ねるのが相応しいことが自ずと分かります。が同時に、かように重要な地位にある株主らに、小さな小さなことまで決定するために、わざわざ招集されるのは気が引けるというか、気の毒というか、要するに不澤少ないことが自ずと分かるのです。

 

他方、取締役会の場合、そこに集結するのは会社の経営陣たる取締役達です。経営陣とはいえ所詮は雇われ経営者に過ぎません。そうであれば会社のルーティンともいうべき通常事項については、株主総会によりも、むしろ取締役会に委ねるのが相応しいことが自ずと分かってくるのです。

 

このような観点から、万能の機関ともいうべき株主総会の決定権限は、その下位機関である取締役会に移すことができ、また取締役会の決定権限は、その下位機関である取締役に移すことができると考えられております。とはいえ、無制限に決定権限を移すことを認めたのでは、上記機関である株主総会或いは取締役会の存在意義を失ってしまいます。そこで法律では、株主総会や取締役会から下位機関へ移すことのできる決定権限の限界を定め、重要性と迅速性のバランスを図っているのです。

 

なお、決定権限を上位から下位へ移すことを「移譲」といいます。あとはいつものように、決定権限の移譲の限界を表形式にまとめておきましょう。

 

<決定権限の移譲の可否のまとめ表>

 

株主総会→取締役会

(会社法295条2項)

取締役会→取締役

(会社法362条4項)

 移譲できない  移譲できる
例外

【例外的に移譲できるもの】

①譲渡制限株式の譲渡の承認

②指定買取人の指定

③取得条件付株式の取得日と取得する株式の決定

④株式の無償割当て

⑤譲渡制限株式の割当ての決定

⑥市場取引等による自己株式の取得

⑦剰余金の配当

 

【例外的に移譲できないもの】

①重要な財産の処分及び譲受け

②多額の借財

③支配人等の選任及び解任

④支店等の設置、変更及び廃止

⑤社債を引き受ける者の募集

⑥取締役の職務の執行が法令及び定款に適合することを確保するための体制等の整備

⑦役員等の責任の免除

⑧その他重要な業務執行