経営の勝負に負けたわけでなくても、廃印届出が必要になるときがあります。どんなときでっか?

法人実印の廃印届出の必要性について法人登記Aiしてnetが詳細にご説明致します!!

負けるが勝ちなどと矛盾に満ちた言葉がありますが、勝負事はやはり勝って、勝利の美酒を味わいたいものではあります。ですが戦に滅法強い豊臣秀吉も朝鮮出兵では振るわなかったように、勝ち続けることは非常なことであり、また確率の原理からすると、負けをも甘受せざるを得ないことがあるのがこれまた人生なのでしょうか。

とはいえ負けても、タダでは起き上がりたくないものであります。負けた時から次の戦いは始まっているのです。まずは敗因の分析は欠かせないでしょう。駄洒落ではありませんが、法人登記でも欠かせないハイインがあり、法人登記でのハイインは正に「廃印」なのであります。法人実印の廃印について、ここでは分析していきたいと思います。

 

さて法人実印(印鑑カードも同様です。)には、一定の法則があります。具体的には、

法則① 法人実印は特定の代表者との関係性が持続する限り使用できます(この代表にあの実印)。

法則② 法人実印は特定の代表者1人につき1本に限り使用できます(1人1本)。

以上の法則を念頭に置くと、次の各場合における法人実印の手続も自ずと見えてくるものなのです。

 

【代表者1名の法人において、代表者が交代した場合、退任した代表者が使用していた法人実印の処理】

代表者の交代により、法人実印を使用していた代表者は退任することになります。ここで法則①が意味を持ちます。代表者が退任により代表者でなくなった時点で、その者は法人実印を法的に使用できなくなり、法人実印との関係性を失います。したがって重ねて廃印届出をも提出して法人実印との関係性を切る必要はないということになります。他方、新たな代表者が退任者の法人実印を引き継ぐ場合、新たに就任した時点で、新たな代表者だけがその法人実印との関係性を持つことができ、代表者1名につき法人実印1本というルールも満たしますので、法則①②が妥当するといえます。したがって印鑑届出提出すべきことになります。

 

【代表者1名の法人において、代表者が法人実印を紛失した場合の法人実印の処理】

法人実印を紛失しても、それを管理する代表者の進退に影響はありません。つまり代表者と法人実印との関係性は維持されているといえます(法則①)。そんな最中、単に法人実印を新調するのみでは、1人の代表者が2本の法人実印と関係性を持つことになりかねません。そこで廃印届出を提出して紛失した法人実印との関係性を切る必要があるといえ、その上で、印鑑届出提出して新たな法人実印との関係性を持つことで、代表者1名につき法人実印1個を満たすことができるのです(法則②)。

 

【代表者2名の法人において、一方から他方へ法人実印の管理を変更する場合の法人実印の処理】

 この場合、旧管理者は代表者の地位を辞するわけではありませんので、法則①にいう法人実印との関係性を失うわけではありません。このような状況で、旧管理者が管理する法人実印を新管理者も管理することになれば、代表者2人につき法人実印1本となり、法則②に違反することとなります。したがって旧管理者は法人実印につき廃印届出を提出する必要があり、これによって旧管理者と法人実印との関係性を断ち切った上で新たに新管理者が法人実印の印鑑届出提出することになります。