法令改正集

東京・愛知(名古屋)・大阪・島根(松江)・鳥取・高知・鹿児島・佐賀から全国津々浦々で『法人登記Aiしてnet』が法人・会社に関する法令改正について噛み砕いて解説致します!!

法人登記をオンライン申請する場合に限り、法務局への印鑑届書の提出が不要に!(令和3年2月15日~)

「印鑑届書の提出」とは、あの大きな法人印を法務局に届出て印影を登録することをいいます。

やり方としては、印鑑届書と題する用紙に、法人印を鮮明に押して法務局に出すのです。

時はコロナ禍、を作り易いアナログよりも、遠隔に馴染むデジタルが求められました。

自民党の菅元首相は、行政のデジタル化を、政策の一丁目一番地と位置づけ、その一つとして押印廃止を推進しました。その掛け声を掛けたのが、あの河野太郎元行革相です。

そのお陰か、だんだんと印鑑がなくても進めることのできる手続が増え、省エネになったかにも思えます。

しかしデジタルは、その電力で動くわけですから、電力の需要アップ➝電力の供給逼迫➝原発の推進➝天下り先・・・というような負のループへの思いが膨らみますが・・・

閑話休題、もともと法人印は必要だからこそ使用されていたのですから、世の中がデジタル化になったからといって直ちに法人印が全く不要になるというのは理論的に繋がりません。法人印が不要になるのは、それに代わる電子署名が使用されるからに他ならないのです。

ただ現状、大多数の中小零細企業で電子署名が普及しているかといえば、そうは言えません。まだまだ従来通り、法人印を使用する必要性はなくなりそうにありませんが、デジタル化へのレールが敷かれたという点では一歩前進ではないでしょうか。

支店の所在地における登記が廃止に!(令和4年9月1日~)

比較的大きな会社によくあるのが「支店」です。身近なところでは銀行があるでしょうか。

S銀行世田谷支店、U銀行難波支店、M銀行北九州支店など・・・。

支店には支配人が置けますので、本店から離れた各地方で、重要な取引をするような場合でも、わざわざ代表取締役がはるばる駆け付けなくても、最寄りの支配人が迅速に対応できるという利点が支店にはあります。このことはその会社と取引をしようとする取引相手も同じで、取引相手が事前にその会社のことを調べるため、登記簿謄本を取得しようとはるばるその会社の本店を管轄する法務局まで駆け付けなくても、最寄りの支店を管轄する法務局で登記簿謄本が取得できるというわけでございます。

ところがそれも今や昔のお話、インターネット社会では、支店どころか自宅、はたまたハイキング中にでも登記簿謄本が取得でき、支店の所在地を管轄する法務局に支店を登記しておく意義が失われてしまいました。

なお、不要になったのは、あくまで支店の登記であって、支店の存在まで否定するものではありません。

支店そのものはこれまで通り、バンバン設置して頂いて結構なのです。設置した地でその都度、登記をする必要がなくなった!というめでたいお話でございました。

代表者の住所が非表示にできるように!(令和4年9月1日~)

会社の登記に付き物なのが「代表者」でございます。

会社は姿形のない観念的な存在ですから、誰か代わり動いてくれないことには動けません。その代わりを務めるのがまさに代表者なのであります。ただし代表者の行為はそのまま会社の行為として扱われますから、代表者に対する監視は慎重でなければなりませんし、代表者が身勝手な振る舞いをなすときは、その責任を追及できるようにしておかなければなりません。そこで今日まで、会社の代表者は、会社の法人登記簿に、個人の住所が登記されてきました。

しかし社会は変動するもの・・・。色々な事情から付き纏われるストーカー、それが夫婦間であればDVなど、自分の住所が知られることで、自分に身の危険が生じかねない時代になってきました。そこでこの度、株式会社に限ってではありますが、ストーカーやDV被害の事案に限らず、およそ代表者については住所を登記しないことにできるようになったというお話でございます。

いつでも、どんな場合でも、旧姓が登記できるようになりました!(令和4年9月1日~)

今までは、会社の役員様につき、ご結婚をきっかけとして、姓の変更登記をする際に限り、旧姓を合わせて登記することができていましたが、この度、旧姓を合わせて登記できる場面が拡大されました。旧姓を合わせて登記する理由は、役員様のお名前がコロコロ変わると、お仕事を行っていく上で何かと支障が生ずるからに他なりません。お名前が変わる原因は、何も婚姻の際に限ったことではございません。離婚の際にも、養子縁組の際にも、養子縁組の離縁の際にも、お名前は変更を余儀なくされ得るのです。それなのに今までは、旧姓が使えるのが、婚姻に際してのみだったわけで、余りにも偏っていたと言わざるを得ません。

これからはどんなことがあっても旧姓のまま役員業を継続して頂けますのでご安心下さい。

申請書や添付書面への押印の要否が見直されました!(令和2年7月17日~)

印鑑販売業者からブーイングの嵐が起こった押印廃止という改正!この改正の波は、法人登記の世界にも着実に影を落としております!!

例えば、かつては株主総会議事録などの原本を、法人登記後に返却して欲しい場合は、株主総会議事録のコピーを取って、そのコピーに原本の返却を希望する旨記載し、その近傍に押印が必要でありました。ところが至る所で押印を要求することは、行政手続を煩雑にし迅速さを失うというデメリットがあります。今回は、そのデメリットを解消しようとするものです。もっとも押印廃止は内閣(行政)の閣議決定による改正ですから、国会(立法)で定めた法律が要求する押印まで廃止することは許されません。それゆえ押印を不要とできる書類もあれば、押印を不要とできない書類もあり、法人さまにとっては非常に小難しい状況となっております。こんなことなら全部押印が必要と方が潔く思えますが、それはさておき、押印廃止となってもなお押印必要な書類について確認しておきましょう。

押印を省略できない書面の例

書類の名称及び概要 関係する登記申請

根拠法

登記申請書 全ての本人申請登記

商業登記法第17条第2項

商業登記規則第35条の2第1項

登記委任状 全ての代理申請登記 商業登記規則第35条の2第2項
定款 会社設立登記 会社法第26条第1項
取締役会議事録 変更登記(本店移転など)  会社法第369条第3項
取締役の一致があったことを証する書面  令和3年1月29日法務省民商第10号通達 
就任承諾書(再任を除く) 役員就任登記 商業登記規則第61条第7項
代表者(前提資格を含む)の辞任届 役員退任登記 商業登記規則第61条第8項