代表者にもプライバシーを与え給え!住所まで知られたくありません?(2024年~)

                                                                                                                                                                代表者住所非表示について「法人登記Aiしてnet」が解説します!

インターネットの普及に伴い、「誹謗中傷」 「プライバシー侵害」 「名誉棄損」という言葉を頻繁に耳にするようになりましたね。これらは、被害者に対する違法な表現の伝達を通じて発生しますから、インターネットという表現伝達方法ができた以上、ほぼ必然的に生ずる被害だったといえます。

 

さて会社の法人登記には、その会社の本店の住所が登記されるのみならず、代表者の自宅の住所も登記されます。登記されるということは、数百円で公開されていまうことを意味しています。自宅の住所が公開されるということは、郵送などの表現伝達方法が1つ増えたことを意味しますから、その方法を通じてプライバシー侵害が生ずることもほぼ必然的なことといえます。

なぜ会社の登記では、代表者個人の住所を公開しているのか?

それにもかかわらず旧来より、会社の代表者個人の住所は登記の対象とされてきました。会社は社会で広く活動を行います。会社が活動することに基づき被害者にさせてしまうことも当然あり得ることであります。ですが会社自体は手も足もない観念的存在です。会社が誰かに損害を与えたということは、会社の役員らによる言動に対する責任が一次的に問題となるのです。また或いは会社の存在が形骸化しているような場合には、その背後にいる役員らにこそ責任を取らせる必要があるのです。

 

「責任をとる」というのは現代的には金で解決することを意味しますが、被害を被ったと思しき者達が加害を及ぼしたと思しき会社から好き勝手に金を回収できるとなりますとそれは無秩序でありますから、結局、責任は裁判所の勝訴判決に基づいてとらせることになります。

 

ところが裁判所の勝訴判決は申込んだから発行してくれる類のものではなく、相手方に対し裁判所での論戦を挑み勝った場合にのみ手に入れることができます。論戦を挑もうとする者は訴状なる書面を相手方に送達して初めて裁判所で裁判ができるようになります。そう、この訴状を送達するためにこそ会社の本店や代表者個人の住所が必要になるので、会社の登記には両者を登記することとしているのです。

 

 

代表者に対する裁判を起こすには、会社の本店の他に、代表者個人の住所も必須なのか

さて裁判では相手方になる者に対し訴状を送達しなければ手続が始まりません。

このことは会社の代表者を相手方にする場合でも同じです。会社の代表者個人の住所が明らかになっていないと、彼に対する裁判が始まらないかにも思えますが、実はそうではありません。訴状は送達しなければなりませんが、それは相手方の知らないところで相手方に対する訴訟を勝手に進ませてはいけないというに他なりません。だとすれば、訴状の送達場所は、必ずしも相手方の住所でなくても構わないことになります。

 

典型的なのが「勤務先」です。会社の代表者は正にその会社に勤務しているわけですから、会社の本店の住所が明らかであれば、その代表者に対し訴状を送達することはできるはずです。そして会社の本店の住所はその会社の登記に記載されているのです。そうしますと代表者個人の住所は常に必ず必要なものとはいえないようであります。

 

 

もっとも、代表者個人の住所を非表示にできるのは株式会社に限られます。合同会社や一般社団法人や特例有限会社では認められません。合同会社については代表者が法人の構成員でもあり、構成員同士の繋がりが強力ですから、代表者個人の住所は他の構成員に聞けばいずれ判明することもあります。他方、一般社団法人については制度上様々な優遇措置が与えられているのですから、更に重ねて住所非表示なる優遇策を認める必要がありません。特例有限会社も同様です。どうしても非表示にしたいのなら株式会社に変更すれば良いのですから。そのような理由から株式会社の代表者についてのみ個人の住所の非表示が認められています。

株式会社限定で認められる代表者の住所非表示の必要書類は?

代表者の住所非表示は、黙っていても始まりません。一定の登記申請の際に、申し出ることが必要です。

当然、非表示にして欲しい旨を申出るだけでは足りません。一定の必要書類を添付して、我こそは住所を非表示にする資格があることを立証しなければならないのです。ここではそのための添付書面を、いつもの一覧表形式で見ていきたいと思います。

 

  住所非表示申立の添付書面 解説
配達証明書

株式会社の登記上の商号及び本店所在場所が記載された原本であって、株式会社が受取ったものが必要です。

郵便物受領証 上記配達証明書を発送する際に発行された原本が必要です。
住民票、戸籍の附票又は印鑑証明書などいずれか1点 代表者の登記上の氏名及び非表示にしたい住所が記載された原本が必要です。
発行後3箇月以内の実質的支配者リスト  申出書(この他に以下の添付書面が必要)
株主名簿
実質的支配者の本人確認書面